倍音のしくみ
倍音とは…
音の高さは周波数によって決まります。
ところが音には,基本となる周波数の他に,
その2倍,3倍,…と整数倍の周波数の振動がいくつも生じています
(このことは,オームによって発見されました)。
この,整数倍の振動のことを倍振動といい,
そのそれぞれの音のことを倍音いいます。
同じ高さの音でも,楽器やものの材質によって音色が異なるのは,
それぞれ倍音の含まれ方が異なるからです。
弦の両端を固定し,どこも押さえずに指ではじいてみます。
すると,振動が両端で反射して弦に定常波が生じます。
このとき,おもに腹が1つの振動がおこっていて,
弦の長さは波長のちょうど半分になっています。
これが基音の振動です。
次に,弦の長さのちょうど半分のところを指で軽く触れて,その片側をはじいてみます
(注;このとき,ぎゅっと押さえてしまうと,弦の長さがもとの半分になってしまい,
固有振動数が変わってしまうので,まったく別の音になります)。
そうすると,腹が1つの振動,つまり基音の振動がさえぎられ,おもに腹が2つの振動がおこります。
これが2倍音です。
このとき,同時に3倍音,5倍音などの奇数倍の振動数のものもさえぎられるので,
音の構成が単純になり,澄んだ音になります。
この倍音の性質を実際に利用したものに,
ハーモニクス奏法というものがあります。
参考文献
中村健太郎 図解雑学「音のしくみ」(ナツメ社)
恩藤知典ほか スーパー理科事典 (増進堂・受験研究社)
斎藤晴男/兵藤申一 高等学校標準「物理1B」(新興出版社啓林館)